研究内容
電子航法研究所における重点研究開発分野について
国土交通省が推進する政策の実現に貢献していくことは当研究所のミッションです。国土交通省は、安全・安心な航空輸送の実現、需要回復・増大への的確な対応、航空分野のグリーン施策及び航空イノベーションに係る政策を推進するとともに、安全で秩序ある効率的な航空交通を確保するため航空管制等の航空保安業務を実施しています。2023年度より開始した国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所第2期中長期目標期間(7年間)において当研究所は、政策推進における技術的課題への対応や航空保安業務への支援のため、以下の4つの重点研究開発分野を設定しています。

① 航空交通の安全性及び信頼性の向上
航空需要の増大に対応して航空交通容量を拡大するには、航空交通の安全性と信頼性の向上が必要です。このため、 航空機運航を支援する衛星・地上施設について、高性能化、用途の拡大などによって安全性を高める技術、施設の障害発生時に運航への影響を最小化する技術などに関する研究開発に取り組みます。
- 次世代GNSSを用いた安全性の高い航法システムの活用に関する研究
- 次世代SBASによる北極域補強に関する研究
- 全飛行フェーズでのRNP化に向けた衛星航法のバックアップ(APNT)構築
- WAM・ADS-B用高機能空中線による航空路監視の効率的整備に関する研究
- 二次監視レーダ(SSR)モードSの新機能利用技術の研究
② 航空管制の高度化と環境負荷の低減
航空需要の増大への対応には定時性の確保、環境負荷の低減及び次世代航空モビリティの考慮も重要な観点です。これを踏まえ、飛行空域の効率的な利用による空域容量の拡大、運航の堅牢性や次世代航空モビリティに対応した空域管理など航空管制の高度化等に関する研究開発に取り組みます。
- 円滑な交通流のための柔軟な空域運用
- 気象情報及び航空交通流を考慮した軌道調整技術に関する研究
- 次世代航空モビリティの運用環境構築に関する研究
- 運航フェーズに応じた管制システムにおける時間管理に関する研究
③ 空港における運用の高度化
空港では、航空管制や空港面管理などの業務が行われており、新技術を活用して業務を効率化していくとともに、空港の機能を最大限発揮させるため、滑走路運用の効率を高める必要があります。このため、管制塔の業務を高度化する技術、航空機等の新たな監視技術、柔軟で環境負荷の低い離着陸経路の設定などに関する研究開発に取り組みます。
- リモートデジタルタワー向け先進的業務支援機能の研究
- 空港用マルチ監視技術活用に関する研究
- GBASを活用した着陸運用の高度化に関する技術開発
- ミリ波レーダおよびカメラを用いた滑走路安全性向上技術に関する研究
- 飛行方式に係る安全と効率に関する研究
④ 航空交通を支える基盤技術の開発
航空交通を支えるシステムの高度化に資する基盤技術の開発や技術的課題の解決が必要です。 このため、航空交通においてデジタル化を促進するための基盤技術及び航空機との無線通信を支える基盤技術などに関する研究開発に取り組みます。
- SWIM による協調的意思決定支援情報サービスの構築と評価に関する研究
- 航空管制用データ通信の大容量化に資する研究
- 電波高度計と同一/隣接周波数利用システムの周波数共有に関する研究
- 磁気低緯度地域におけるGNSS性能向上及び性能評価技術高度化に関する研究
- L帯のCNS周波数共用に関する研究
萌芽的研究
独創的または先進的な発想により研究所の新たな研究成果を創出する可能性を有する研究については、電子航法に関する国際的な技術動向を踏まえつつ先見性と機動性を持って長期的な視点から取り組んでおります。