GBASを活用した着陸運用の高度化に関する技術開発

GPSをはじめとした全地球航法衛星システム(GNSS)による衛星航法の航空分野での利用が進んでいます。空港近辺での進入着陸フェーズでは、航空機の位置決定(測位)精度とともに高い安全性が要求されています。地上型補強システム(GBAS)は視程がよくない天候においても航空機が安全に進入着陸できるように、GNSS衛星からの測位信号の信頼性を向上する補強情報や進入経路情報を地上から放送してGNSSを用いた進入着陸を支援しています。GBASは複数の進入経路を同時に支援できるので、これらの利点を活用すれば、より柔軟な進入経路による着陸運用が可能であると考えられ、燃料消費や騒音等の環境負荷の低減、混雑空港での滑走路運用の効率化による空港処理容量の拡大が期待されています。また、GBASでは従来の計器着陸システム(ILS)と比較して、この複数の進入経路を支援できることの他に、滑走路の効率的な利用につながるILS電波の保護エリアを必要としないことなどの利点があります。

電子航法研究所ではこれらの利点を活かして、航空機がより柔軟な進入経路の選択から滑走路離脱までを一連の進入着陸として支援するための研究開発を行っています。具体的には、図のように通常の進入着陸支援に加えて高角度進入や同一滑走路に2つ目の着陸地点を設定した進入着陸を想定した運用概念の構築や、それに伴う制約条件の明確化に取り組んでいます。また、経路設計に必要となる衝突危険度モデル(CRM)の改良など、安全性評価のための技術開発を行うとともに、滑走路離脱を円滑にするためのパイロット支援ツールの具体化や各種シミュレーション実験をとおして、これら新しい着陸運用による効率化について評価を行っています。

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