次世代GNSSに対応した航法システムの性能向上に関する研究
航空機の航法においては、近年は全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)の利用が進んでいます。現在のところ航空機に搭載できるGNSS受信機は米国のGPS しか対応していませんが、ロシアのGLONASS や欧州のGalileo など複数のGNSS の利用による航法の性能向上が期待されています。航空機がGNSS を航法に使用するためにはSBAS あるいはGBASといった補強システムを併用する必要があり、複数のGNSS を利用するには、補強システムもまた複数のGNSS に対応しなければなりません。
一方、300 ~ 400km 上空にある電離圏の活動が活発になるとGNSS の性能が低下することが課題となっています。この対策としては宇宙天気情報の活用が考えられ、電離圏の活動に関する予報を利用できれば性能の低下を抑えられます。また、複数GNSS への対応と同時に複数周波数の航法信号を使用することでも、電離圏の影響を大きく低減できます。
GNSS は無線信号を使用することから、妨害波や偽信号による攻撃の可能性が指摘されています。航法システムの安全性のため、セキュリティ対策を施す必要があります。
本研究では、次世代GNSS 環境に対応した二周波数・複数システム(DFMC)対応航法システムの開発を行うとともに、電離圏の特性の把握やセキュリティ対策により航法システムの性能及び安全性を改善し、いつでもどこでも利用できるようにするための技術開発を行っています。
