SBAS/L1-SAIFメッセージの内容

ICAO SBAS規格による補強信号及び 準天頂衛星「みちびき」のL1-SAIF補強信号により 送信されるメッセージの内容は、以下の通りです。

共通事項
  • 毎秒1個のメッセージが送信されます。各メッセージの先頭はGPSの正秒エポックに同期しています。
  • 各メッセージの先頭8ビットはプリアンブルで、0x53, 0x9a, 0xc6がこの順に繰り返し用いられます。GPSのサブフレーム(6秒間)エポックに同期して送信が開始されるメッセージのプリアンブルが0x53で、その次に送信されるメッセージでは0x9aになります。
  • 6ビットのメッセージタイプによりメッセージの内容を識別します。
  • 各メッセージの末尾にはCRCパリティが付されており、生成多項式は
    G(x)=x24+x23+x18+x17+x14+x11+x10+x7+x6+x5+x4+x3+x1+x0 です。CRCパリティが一致しないメッセージは使用しないでください。
  • 各データ項目は、固定小数点方式で表現されています。規定のビット数の最上位ビット(MSB)が先に送信され、最下位ビットの右側に小数点があります。ビット列を読み取って得た整数値にデータ項目毎に規定された分解能を乗じることで、目的のデータが得られます。
  • 符号付きのデータ項目については、2の補数方式によります(MSBが符号を表します)。
注意点
  • 以下の各メッセージタイプの説明は、ディファレンシャル補正情報を使用する場合に絞ってあります。
  • インテグリティ情報を使用する場合や、その他詳細な情報についてはIS-QZSSを参照してください。
  • 各メッセージは、送信されてからタイムアウト時間以内に限り有効です。通常はタイムアウトになる前に同一の内容を含むメッセージが再度送信されますが、そのように保証されているわけではありません。タイムアウト時間の規定については、IS-QZSSを参照してください。

メッセージタイプ1:PRNマスク情報

メッセージタイプ1:PRNマスク情報
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 1
210 マスク値 1 0 or 1 1
1 IODP 2 0~3 1
1 CRC 24
  • メッセージタイプ1は、補強対象の衛星を示すPRNマスク情報を送信します。
  • PRNスロット1~210に対応したマスク値が順番に送信されます。それぞれ、0は補強対象ではない衛星、1は補強対象の衛星を表します。補強対象の衛星数は最大で51機です。
  • PRNマスクが1とされた衛星については、PRNスロット番号の小さいものから順に「PRNマスク番号」が付けられます。PRNマスク番号の範囲は1~51で、他のメッセージタイプで送信される補強情報が対応する衛星を指定するために用いられます。
  • メッセージタイプ25(及びメッセージタイプ24の後半部分)では、対象とする衛星が1~51のPRNマスク番号により指定されます。メッセージタイプ2~5(及びメッセージタイプ24の前半部分)では、補正情報のスロットとPRNマスク番号の対応関係があらかじめ定められています。

PRNマスク情報の更新

  • IODP(Issue of Data, PRN Mask:PRNマスク更新番号)は、PRNマスク情報が変更されると増加します(ただし、3の次は0になります)。
  • PRNマスク番号を参照する他のメッセージタイプにはIODPが含まれていますので、受信機は常にIODPが一致するPRNマスク情報を参照してPRNスロット番号への変換を行ってください。
  • 新しいPRNマスク情報が送信される際には、メッセージタイプ1以外のメッセージタイプのIODPが更新されるより前に、新しいPRNマスク情報を含むメッセージタイプ1が複数回送信されます。
  • 新しいPRNマスク情報を受信した場合、受信機は新旧両方のPRNマスクをしばらく保持し、他のメッセージタイプのIODPが更新されるまでは古いほうのPRNマスク情報を使用してください。タイプ1以外のいずれかのメッセージタイプに含まれるIODPが更新された場合は、古いPRNマスク情報は廃棄できます。
  • メッセージタイプ1以外のいずれかのメッセージタイプに含まれるIODPが更新されたにもかかわらず、対応するPRNマスク情報をまだ入手していない場合は、そのメッセージタイプは使用しないでください。
  • PRNマスク情報の更新は、30分間に一度を超える頻度で行われることはありません。

PRNスロット番号

PRNスロット番号
PRNスロット 対応するGNSS衛星 SBAS L1-SAIF
1~37 GPS PRN 1~37
38~61 GLONASS スロット番号 1~24
120~138 SBAS
183 QZS-1 L1-SAIF
193 QZS-1 L1C/A

メッセージタイプ2~5:高速補正

メッセージタイプ2~5:高速補正
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 2~5
1 IODFj 2 0~3 1
1 IODP 2 0~3 1
13 FCi 12 あり ±256 m 0.125 m
13 UDREIi 4 0~15 1
1 CRC 24
  • メッセージタイプ2~5は、高速補正情報を送信します。
  • 各メッセージは13個の補正情報スロットを持ち、それぞれ次の通りPRNマスク番号に対応します。
メッセージタイプ2~5
メッセージタイプ2 PRNマスク番号1~13
メッセージタイプ3 PRNマスク番号14~26
メッセージタイプ4 PRNマスク番号27~39
メッセージタイプ5 PRNマスク番号40~51
  • メッセージタイプ5の13番目のスロットは使用されません。
  • IODPが一致するPRNマスク情報(メッセージタイプ1)を使用して実際のGNSS衛星に対応付けてください。
  • それぞれのメッセージタイプは、PRNマスク情報で指定された衛星数が当該メッセージタイプを必要とする時のみ送信されます。たとえば、メッセージタイプ5が送信されるのは、40機以上の衛星が補強対象となっている場合です。
  • 対応するPRNマスク番号がない余分のスロットの情報は使わないでください。
  • 有効な高速補正値(FCi)の範囲は[-256.000m, +255.750m]です。FCi=255.875mは無効な高速補正値を表し、このときUDREIi=15(Not Monitored)となります。
  • 高速補正値FCiの適用時刻(ti,0f)は、プリアンブルの先頭ビットの開始時点と一致するGPS時刻の正秒エポックです。
  • IODFj及びUDREiについては説明を省略します。IS-QZSS を参照してください。

補正値の計算

  • 時刻tにおける高速補正値PRC(t)は、2つの高速補正情報を用いて計算します。
  • 2つの高速補正情報をFCi,current及びFCi,previous、それらの送信時刻をそれぞれtFC,currentとtFC,previous
    (ただしtFC,previous<tFC,current)としたとき、高速補正値は
     PRCi(t) = FCi,current +(t-tFC,current) RRC(tFC,current)
     RRCi(tFC,current) = (FCi,current -FCi,previous)/(tFC,current -tFC,previous)
    として求められます。
  • 電子航法研究所の実験で送信されているL1-SAIF信号を使用する場合は、最新の高速補正情報のみを用いて
     PRCi(t) = FCi,current
    としてかまいません。

メッセージタイプ9:静止衛星エフェメリス

メッセージタイプ9:静止衛星エフェメリス
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 9
1 (予約) 8
エポック時刻 t0,GEO 13 0~86384 s 16 s
URA 4 0~15 1
XG 30 あり ±42949.673 km 0.08 m
YG 30 あり ±42949.673 km 0.08 m
ZG 25 あり ±6710.8864 km 0.4 m
dXG/dt 17 あり ±40.96 m/s 0.625 mm/s
dYG/dt 17 あり ±40.96 m/s 0.625 mm/s
dZG/dt 18 あり ±524.288 m/s 4 mm/s
d2XG/dt2 10 あり ±6.4 mm/s2 0.0125 mm/s2
d2YG/dt2 10 あり ±6.4 mm/s2 0.0125 mm/s2
d2ZG/dt2 10 あり ±32 mm/s2 0.0625 mm/s2
aGf0 12 あり ±0.9537×10-6 s 2-31 s
aGf1 8 あり ±1.1642×10-10 s/s 2-40 s/s
1 CRC 24
  • SBASで送信されるメッセージタイプです(L1-SAIFでは送信されません)。
  • 静止衛星から送信されるSBAS信号を測距信号として使用可能とするために、静止衛星の位置とクロック補正値を提供します。

メッセージタイプ12:タイミング情報

メッセージタイプ12:タイミング情報
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 12
1 (省略) 137
GLONASSフラグ 1 0 or 1 1
δaGLONASS 24 あり ±2-8 s 2-31 s
(予備) 50
1 CRC 24
  • GLONASSフラグ=1の場合はGLONASS衛星に対する補強情報が提供されています。
  • δaGLONASSはGLONASS時刻の(GPS時刻に対する)オフセットです。GPS時刻をtGPS、GLONASS時刻をtGLONASS(UT(SU)及びうるう秒の調整はされているものとします)としたとき、δaGLONASS=tGLONASS-tGPS です。
  • 2012年末現在、GLONASS衛星に対する補強情報を提供するSBASはありません。L1-SAIF信号を使用して電子航法研究所が実施する実験では、試験的に対応しています。

メッセージタイプ18:IGPマスク情報

メッセージタイプ18:IGPマスク情報
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 18
1 IGPバンド数 4 0~11 1
1 IGPバンド番号 4 0~10 1
1 IODIk 2 0~3 1
201 IGPマスク 1 0 or 1
1 IGPマスクパターン 1 0 or 1
1 CRC 24
  • 電離層伝搬遅延の補正情報は、あらかじめ位置が決められている電離層格子点(IGP:Ionospheric Grid Point)における垂直遅延量として送信されます。
  • メッセージタイプ18により補強対象のIGPが指定されます。IGPマスク値が1のIGPは補強情報が送信されますが、0のIGPは補強対象になりません。
  • IGPは11のバンドに分けられており、バンド0~10の番号が付けられています。各バンドにはそれぞれ201個のIGPが定義されており、IGPスロット1~201が対応します。
  • メッセージタイプ18の「IGPバンド数」は、SBAS/L1-SAIFが使用するIGPバンドの総数を表します。「IGPバンド番号」は、当該メッセージタイプ18に含まれるIGPマスク情報が対応するIGPバンドを表します。
  • IGPマスクに1がセットされたIGPスロットに対応するIGPが補強対象になります。各バンドでは最大201個までのIGPが補強対象になります。各バンドについて、補強対象のIGPには順に1から最大201までのIGPマスク番号が割り振られます。
  • メッセージタイプ18の「IGPマスクパターン」は、L1-SAIFのみです。SBASでは使用されません(常にIGPマスクパターン=0を参照してください)。
  • IGPの位置については、以下を参照してください。エクセルの表形式で、経緯度に対応するIGPスロット番号が掲載されています(ただし、IGPマスクパターン=0のみ)。
  • L1-SAIF信号を使用して電子航法研究所が実施する実験では、IGPマスクパターン=1は現在のところ用いられていません。

IGPマスク情報の更新

  • IODI(Issue of Data, IGP Mask:IGPマスク更新番号)は、IGPマスク情報が変更されると増加します(ただし、3の次は0になります)。
  • メッセージタイプ26にはIODIが含まれていますので、受信機は常にIODIが一致するIGPマスク情報を参照してIGPスロット番号への変換を行ってください。
  • 新しいIGPマスク情報が送信される際には、メッセージタイプ26のIODIが更新されるより前に、新しいIGPマスク情報を含むメッセージタイプ18が複数回送信されます。
  • 新しいIGPマスク情報を受信した場合、受信機は新旧両方のIGPマスクをしばらく保持し、メッセージタイプ26のIODIが更新されるまでは古いほうのIGPマスク情報を使用してください。メッセージタイプ26に含まれるIODIが更新された場合は、古いIGPマスク情報は廃棄できます。
  • メッセージタイプ26に含まれるIODIが更新されたにもかかわらず、対応するIGPマスク情報をまだ入手していない場合は、そのメッセージタイプ26は使用しないでください。
  • IGPマスク情報の更新は、1時間に一度を超える頻度で行われることはありません。

メッセージタイプ24:高速・長期補正

メッセージタイプ24:高速・長期補正
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 24
6 FCi 12 あり ±256 m 0.125 m
6 UDREIi 4 0~15 1
1 IODP 2 0~3 1
1 高速補正タイプ 2 0~3 1
1 IODFj 2 0~3 1
1 (予備) 4
1 (MT25サブメッセージ) 106
1 CRC 24
  • メッセージタイプ24は、高速補正と長期補正の両方を含みます。本来は高速補正はメッセージタイプ2~5で送信されますが、13個のスロットの半分以下しか使われない場合は、代わりにメッセージタイプ24が使用されます。具体的には、PRNマスク情報により指定されている補強対象の衛星数が1~6、14~19、27~32、40~45のいずれかの場合です。
  • メッセージタイプ24は、前半部分に6衛星分の高速補正、後半部分にメッセージタイプ25の半分を含みます。
  • 「高速補正タイプ」は、メッセージタイプ24の高速補正がメッセージタイプ2~5のいずれを代替しているかを表します。0~3の高速補正タイプが、メッセージタイプ2~5に対応します。
  • 高速補正の内容は、メッセージタイプ2~5と同様です。
  • メッセージタイプ24の後半部分には、メッセージタイプ25の半分(MT25サブメッセージ)が格納されています。内容についてはメッセージタイプ25の説明を参照してください。

メッセージタイプ25:長期補正

メッセージタイプ25:長期補正
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 25
2 (MT25サブメッセージ) 106
1 CRC 24
  • メッセージタイプ25は、測位衛星のクロック及びエフェメリスの比較的長い周期の誤差に対する補正値を送信します。
  • 補正対象の衛星については、それぞれ以下の信号のエフェメリスを使用してクロック補正値及び衛星位置を計算してください。
信号のエフェメリス
GPS L1 C/A
GLONASS L1 Standard Accuracy Signal
SBAS (長期補正は送信されません)
QZSS L1-SAIF QZS-L1-SAIF MT58
QZSS L1 C/A QZS-L1-C/A
  • メッセージタイプ25は2個のサブメッセージにより構成されます。サブメッセージはそれぞれ106ビットで、2機の衛星に対する補正情報を含む場合(速度コード=0)と、1機の衛星に対する補正情報を含む場合(速度コード=1)があります。2つのサブメッセージの速度コードが同じである保証はありません。

MT25サブメッセージ(速度コード=0)

MT25サブメッセージ(速度コード=0)
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 速度コード=0 1 0
2 PRNマスク番号 6 0~51 1
IODi 8 0~255 1
δxi 9 あり ±32 m 0.125 m
δyi 9 あり ±32 m 0.125 m
δzi 9 あり ±32 m 0.125 m
δai,f0 10 あり ±2-22 s 2-31 s
IODP 2 0~3 1
(予備) 1
  • 速度コード=0の場合は、衛星の速度に関する補正情報がない代わりに、2衛星分の補正情報を格納することができます。
  • 補正対象の衛星は、PRNマスク番号(1~51)で指定されます。IODPが一致するPRNマスク情報(メッセージタイプ1)を使用して実際のGNSS衛星に対応付けてください。
  • PRNマスク番号=0の場合は、有効な補正情報は格納されていません。
  • 長期補正情報には8ビットのデータ送出番号(Issue of Data:IOD)が含まれています。これは受信機側で使用すべきエフェメリス情報を指定する情報で、各GNSS衛星について次の値と対応付けられます。
信号のエフェメリス
GPS エフェメリス更新番号IODE
GLONASS エフェメリス受信時刻(tr
SBAS (長期補正は送信されません)
QZSS L1-SAIF エポック時刻t0,Q/60
QZSS L1 C/A エフェメリス更新番号IODE
  • GLONASSについては、IODにより指定されるのはエフェメリスを受信した時刻の範囲です。メッセージタイプ24あるいは25の送信時刻をtLT、エフェメリスの受信時刻をtrとしたとき、
     tLT-L-V ≤ tr ≤ tLT-L
    の関係を満たすエフェメリスを使用してください。IODの上位5ビットが有効時間(V)、下位3ビットが遅れ時間(L)です。それぞれの内容については後掲の表を参照してください。
  • GPS衛星やGLONASS衛星が新しいエフェメリスを送信した場合でも、長期補正を適用するには、長期補正に付随するIODが指定するエフェメリスを引き続き使用してください。IODが更新された場合は、当該衛星の古いエフェメリスは廃棄できます。

MT25サブメッセージ(速度コード=1)

MT25サブメッセージ(速度コード=1)
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 速度コード=1 1 1
1 PRNマスク番号 6 0~51 1
IODi 8 0~255 1
δxi 11 あり ±128 m 0.125 m
δyi 11 あり ±128 m 0.125 m
δzi 11 あり ±128 m 0.125 m
δai,f0 11 あり ±2-21 s 2-31 s
δdxi/dt 8 あり ±0.0625 m/s 2-11 m/s
δdyi/dt 8 あり ±0.0625 m/s 2-11 m/s
δdzi/dt 8 あり ±0.0625 m/s 2-11 m/s
δai,f1 8 あり ±2-32 s/s 2-39 s/s
ti,LT 13 0~86384 s 16 s
IODP 2 0~3 1
  • 速度コード=1の場合は、衛星の速度に関する補正情報がある代わりに、1衛星分の補正情報しか格納されません。
  • 補正対象の衛星は、PRNマスク番号(1~51)で指定されます。IODPが一致するPRNマスク情報(メッセージタイプ1)を使用して実際のGNSS衛星に対応付けてください。
  • PRNマスク番号=0の場合は、有効な補正情報は格納されていません。
  • その他の使用方法は速度コード=0の場合と同様です。
  • L1-SAIF信号を使用して電子航法研究所が実施する実験では、速度コード=1のサブメッセージは用いられていません。

GLONASSエフェメリスの指定に用いる情報

GLONASSエフェメリスの指定に用いる情報
項目 ビット数 有効範囲 分解能
有効時間(V) 5 30~960 s 30 s
遅れ時間(L) 3 0~120 s 30 s

補正値の計算(衛星クロック)

  • 時刻tにおける、衛星クロック補正値に対する補正量 δΔtSVi(t)は、
     δΔtSVi(t) = δai,f0 +(t-ti,LT) δai,f1 +δaGLONASS
    として計算できます。
  • 速度コード=0の場合は、δai,f1=0とみなしてください。
  • δaGLONASSは、GLONASSの時刻オフセットです。GPS衛星についてはδaGLONASS=0としてください。
  • δΔtSVi(t)は、IS-GPS 20.3.3.3.3.1節のクロック補正値に加えてください。すなわち、
     (ΔtSV)L1 = ΔtSV -TGD +δΔtSV(t)
    とします。

補正値の計算(衛星位置)

  • 時刻tにおける、衛星位置に対する補正量δxi(t),δyi(t),δzi(t)は、
     δxi(t) = δxi +(t-ti,LT) δdxi/dt +δxGLONASS
     δyi(t) = δyi +(t-ti,LT) δdyi/dt +δyGLONASS
     δzi(t) = δzi +(t-ti,LT) δdzi/dt +δzGLONASS
    として計算します。
  • 速度コード=0の場合は、δdxi/dt=δdyi/dt=δdzi/dt=0とみなしてください。
  • δxGLONASS=-0.36,δyGLONASS=0.08,δzGLONASS=0.18は、GLONASSが採用しているPZ-90.02座標系をGPSのWGS-84座標系に変換するためのパラメータです。GPS衛星についてはδxGLONASS=δyGLONASS=δzGLONASS=0としてください。
  • δxi(t),δyi(t),δzi(t)は、エフェメリスから計算した衛星位置に加えてください。

メッセージタイプ26:電離層補正

メッセージタイプ26:電離層補正
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 26
1 IGPバンド番号 4 0~10 1
1 IGPブロック番号 4 0~13 1
15 IGP垂直遅延量τi 9 0~63.875 m 0.125 m
GIVEi 4
1 IODIk 2 0~3 1
1 (予備) 7
1 CRC 24
  • メッセージタイプ26は、電離層伝搬遅延に対する補正を提供します。提供されるのは、IGPマスク情報で指定されたIGPにおける垂直遅延量です。
  • 遅延量はL1周波数(1575.42MHz)における値です。
  • メッセージタイプ26には、15個のIGPにおける電離層遅延量が含まれます。15個のIGPは、すべてIGPバンド番号で指定された同一のIGPバンドに属します。
  • IGPブロック番号は、IGPマスク情報で指定されたIGPのうち、どの範囲のIGPの補強情報が含まれているかを表します。IGPブロック番号0はIGPマスク番号1~15(IGPマスク情報が「1」とされているIGPのうちの1~15番目)、ブロック番号1はIGPマスク番号16~30といったように対応します。IGPマスク情報に示されたIGP数を超えるスロットに位置する補強情報は無効です。
  • IODIが一致するIGPマスク情報(メッセージタイプ18)を使用して実際のIGPに対応付けてください。
  • 有効な垂直遅延量の範囲は[0, 63.750m]です。垂直遅延量の63.875mは無効値で、このときGIVEi=15(Not Monitored)となります。
  • GIVEiについては説明を省略します。IS-QZSS を参照してください。

ピアースポイントの計算

  • 衛星から送信された測距信号が電離層を通過する位置をピアースポイント(pierce point)といいます。
  • 受信機位置の経度をλu、緯度をφu、 衛星iの仰角をELi、方位角をAZi(北を基準として時計回り)としたとき、ピアースポイントの経度λppと緯度φppは次式により算出できます。
     φpp = sin-1 (sin φu cos ψpp +cos φu sin ψpp cos AZi)
     λpp = λu +sin-1 (sin ψpp sin AZi/cos φpp)
     ψpp = π/2 -ELi -sin-1 [ RE cos ELi/(RE+Hiono) ]
    RE=6378.137kmは地球半径、Hiono=350kmは電離層の高度です。

遅延量の計算

  • ピアースポイントにおける垂直遅延量τppは、ピアースポイントを囲む4点のIGP(経緯度で5度ずつ離れた四角形状に配置されているものとします)における垂直遅延量τ1,...,τ4を内挿して求めます。
     τpp = Σj=1,...,4 τj (1-|λIGPjpp|/Δ) (1-|φIλIGPjpp|/Δ)
    λIλIGPj,φIλIGPjはIGPの経緯度、Δ=5π/180はIGPの間隔(5度)を表します。
  • 電離層伝搬遅延の補正量ICiは、垂直遅延量を衛星の仰角方向に換算することで得られます。
     ICi = -τpp [ 1 -{RE cos ELi/(RE+Hiono)}2 ]-1/2
    補正量は遅延量と符号が逆になります。

メッセージタイプ58:QZSエフェメリス

メッセージタイプ58:QZSエフェメリス
繰返し回数 項目 ビット数 符号 有効範囲 分解能 SBAS L1-SAIF
1 プリアンブル 8 0x53 or 0x9a or 0xc6
1 メッセージタイプ 6 58
1 エポック時刻t0,Q 8 0~10740 s 60 s
URA 4 0~15 1
XQ 26 あり ±42949.673 km 1.28 m
YQ 26 あり ±42949.673 km 1.28 m
ZQ 26 あり ±42949.673 km 1.28 m
dXQ/dt 24 あり ±4194.304 m/s 0.5 mm/s
dYQ/dt 24 あり ±4194.304 m/s 0.5 mm/s
dZQ/dt 24 あり ±4194.304 m/s 0.5 mm/s
d2XQ/dt2 5 あり ±0.032 mm/s2 0.002 mm/s2
d2YQ/dt2 5 あり ±0.032 mm/s2 0.002 mm/s2
d2ZQ/dt2 5 あり ±0.032 mm/s2 0.002 mm/s2
aQf0 22 あり ±1.953 ms 2-30 s
aQf1 13 あり ±3.725 ns/s 2-40 s/s
1 CRC 24
  • L1-SAIFで送信されるメッセージタイプです(SBASでは送信されません)。
  • L1-SAIF信号を測距信号として使用可能とするために、準天頂衛星の位置とクロック補正値を提供します。

擬似距離の補正

  • SBAS/L1-SAIF信号により提供された情報によりディファレンシャル補正を行うには、時刻tに衛星iについて測定した擬似距離PSRi,measured(t)に対して、次のように補正情報を適用します。
     PSRi,corrected(t) = PSRi,measured(t) +PRCi(t) +ICi +TCi
    高速補正PRCi(t)及び電離層伝搬遅延補正ICiは、上述の補強メッセージにより計算してください。
  • 対流圏遅延補正TCiについては、地上付近ではたとえば次のように計算できます。
     TCi = -2.47×(1 -2.3×10-5 hu)5/(sin ELi +0.0121)
    huは受信機の海抜高度です。
  • 測位に使用する衛星については、それぞれ以下の信号のエフェメリスを使用してクロック補正値及び衛星位置を計算したうえで、SBAS/L1-SAIF信号により提供される補正情報δΔtSVi(t),δxi(t),δyi(t),δzi(t)を適用してください。
擬似距離の補正
GPS L1 C/A
GLONASS L1 Standard Accuracy Signal
SBAS L1 C/A
QZSS L1-SAIF QZS-L1-SAIF MT58
QZSS L1 C/A QZS-L1-C/A
  • 補正値の計算には、受信機の経緯度λuuと高度huが必要になります。これらについては高い精度は必要ありませんので、ディファレンシャル補正を施さないGPSを使用するなどにより、あらかじめ計算してください。
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