電子航法研究所 所長 島津 達行
電子航法研究所は、昭和36年に設置された運輸省運輸技術研究所航空部の電子航法研究室を起源としています。その後、同省船舶技術研究所電子航法部を経て、昭和42年7月に同省電子航法研究所として発足いたしました。平成28年4月に現在の組織、すなわち海上技術安全研究所及び港湾空港技術研究所とともに、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所を構成する3研究所の一つとなりました。
電子航法研究所は、航空交通管理及びそれを支える通信・航法・監視技術などからなる航空交通システムに関する我が国唯一の研究機関として、航空の安全性・効率性の向上、地球環境の保全などを可能にする技術の実現を目指して研究開発に取り組んでおります。特に、国土交通省を中心に産学官で推進している「将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)」では諸課題について重点的に取り組むなど、この長期ビジョンの実現に向けて全面的に支援しております。
一方で、当研究所は、海外の同様の研究機関と比べ小規模な組織です。そのような組織が幅広い研究の要望に応えるためには、研究員一人一人の絶え間ない努力とともに国内外の研究機関・大学などとの連携が重要です。当研究所では「知で繋がる−航空交通を支える知と国際標準化の先端拠点」という目標を掲げ、活動を進めております。限られた人材であるため、対応が難しい多様な研究課題に対しては、それらを得意とする国内外の機関と連携することで社会のニーズに応えて参りたいと考えております。
2019年12月に国際標準化センターを設立してから2年が経ちました。航空輸送を支えるインフラシステム(航空交通管理・通信・航法・監視)は、国際標準を適用したシステム開発や運用が必要です。当センターを中心に所を挙げて、国際標準の作成への貢献や国際標準関連の情報発信を行っているところですが、今後更に産業の発展や社会ニーズに応えられるよう取り組んで参りたいと考えております。
当研究所は、我が国航空の発展に寄与するため、所員一同益々業務に励む所存です。関係者の皆様におかれましては、より一層のご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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